「ベーシックインカムを導入したら働き手が減るからダメ」に思うこと – そもそも、なんでみんな働きたくないの?

ベーシックインカム ベーシックインカム

私のブログでは何度か、ベーシックインカムについて取り上げています。私個人の考えとしては、現行の生活保護制度は問題が多すぎるので、ベーシックインカムの導入を支持しています。

しかし、ベーシックインカムの議論になると必ずといっていいほど「働かなくても生活できるようになれば、働き手が激減して、その結果、成り立たなくなる産業も出ててくるから反対だ」という意見が出てきます。今回はベーシックインカムそのものではなく、日本人を支配する労働感について私の意見をまとめてみたいと思います。

はじめに

まずはじめに、この記事でいうベーシックインカムとは、毎月、7万円程度を無条件ですべての国民に対して支給する仕組みのことをいいます。7万円という金額は、ベーシックインカムの導入を議論する際によく用いられる金額で、私個人の印象としては「それだけで生活できなくはないが、豊かな暮らしをしたければ更に働いてお金を稼ぐ必要がある金額」とイメージしています。もちろん、大都市でなければ7万円だけで生きていくこともおそらく可能でしょう。ここには、働くか働かないかを個人が選択する自由があります。

そもそも、なぜそんなに働きたくないの?

さて本題ですが、そもそもなぜ日本人にはそれほどまでに働くことがイヤな人が多いのでしょうか?

「もし宝くじで一等が当たったら……」

「もしお金持ちと結婚したら……」

「もし突然、莫大な遺産を相続したら……」

「もし、うちの会社が早期退職制度を取り入れて、巨額の退職金を得られるならば……」

親しい人とのおしゃべりの中で、こんな話題が登ることはしばしばあるでしょう。そして次に来るのは決まって「もう働かなくて住むのになあ…」というぼやきです。

または「大金を手に入れても私は働くけどね」という意思表示です。後者の人はおそらく、自分の仕事に満足していて、誇りを持っているのかもしれません。そしてなんらかの動機付けに従って、その事実を表明したいのでしょう。

84%は「働きたくない」

2019年10月に株式会社ビズヒッツが行ったアンケートによれば、84%の人が「働きたくない」と思ったことがあり、さらに男性のおよそ80%は働く理由として「生活のため」と回答しています。

【アンケート結果サマリー】

・働いている人の84%は「働きたくない」と思ったことがある
・働きたくない理由の第1位は「人間関係がつらいから」
・働いている理由の第1位は男女とも「生活のため」
・特に男性のおよそ80%は生活のために働いている
・女性は「生活費を稼ぐ」以外に仕事に複数の目的をもっている人が多い
・給料が多く、人間関係の良い職場なら積極的に働きたい

引用元:株式会社ビズヒッツ

仕事が楽しければ続けたいはず

これは私のイメージですが、大多数の日本人は働くことをイヤだと思っており、自分がやっている仕事は他の誰がやっても変わらない、取るに足りない仕事だと考えている。一念発起して転職したところで同じようなつまらない仕事ばかり。だから、一生働かなくても生活ができる環境を整えるチャンスさえあれば、そうしたいと考えているのです。その実現を模索すべく、なけなしの貯金をはたいて賃貸不動産のオーナーになってみたり、株式や外国為替をはじめたりする。

だからFIREなどという言葉も生まれるのでしょう。私は、日本においてFIREを志向する人々のモチベーションの主軸は、資産を蓄え運用して増やすことで資本家階級に登りたいという欲求よりも、「働かずに生きる」を実現することにあると考えています。他人よりも上に立ちたい、他人を支配したい、などといった欲求ではなく、ただ単に「働きたくない」のです。それだけ今の日本で働くことはつらすぎるということではないでしょうか。

つまらない仕事しか提供できないのは社会の問題

「ベーシックインカムが導入されたら働かなくても生活できるようになる、だったら私は働かない」

このような、そもそも、そんな仕事をすることを望まない人たちを無理やり労働市場に追い込むことで働かせ、誰もやりたがらない仕事をせざるを得ない人々を生み出している。このようにして成立している産業が、日本にはたくさん存在します。そのような産業に、そもそも存在する意味はあるのでしょうか?

「働かないと生活に困窮するかもしれない」

「生活保護だけはイヤだ」

「働かないと近所から白い目で見られる」

こうしたネガティブな方向だけの社会的圧力に支えられて、もっと率直に言えばこれらを悪用して、無理矢理に労働者を囲い込まなければ成り立たないような産業が、はたして社会にどれほどの幸福をもたらしているのでしょうか?

私には、むしろこれらの産業が存在することで生産される不幸のほうが、幸福よりも遥かに多いのではないかと思えてなりません。別の表現をすれば、こうした産業は、とっくの昔に死んでいなければならない存在なのに、働かなければ生きられないという社会的圧力を利用することで、さながらゾンビのように生きながらえているだけなのです。

ベーシックインカムを導入した結果、そうした産業に従事する労働者がいなくなり、成立しなくなるのであれば、それは仕方のないことでしょう。こうした自体を危惧する産業や政府は、労働者が心から自分の仕事に誇りを持って楽しく働ける、一生その仕事を続けたいと心から願うような社会の実現について、手遅れになる前に真剣に取り組むべきです。

生きがいや楽しさを提供できている産業は変わらない

諸外国で実験的に導入されたベーシックインカムの結果においても、多くの人は「ベーシックインカムがあっても、仕事は続けたい」と答えたそうです。

本来、仕事とは、個人が自分の才能を活かして、他人のために何がしかの価値を生み出して、その対価を得ることだと私は考えます。対価とは、お金などの物質的な価値、さらに自己実現欲求や承認欲求の充足などの無形の価値です。

このような仕事の本質について真剣に考え、労働者にどのようにして楽しさ、生きがいを提供するかを真剣に考えた産業は、たとえベーシックインカムが導入されたとしても労働者不足に悩まされることを心配する必要はないでしょう。この仕事が楽しい。この仕事をやめたくない。一生続けたい。ごく当たり前のことではないでしょうか。

おわりに

今回の記事では、ベーシックインカムの導入に反対する意見としてよくある「ベーシックインカムを導入したらみんな働かなくなる」について私の意見をまとめました。最後までお読み頂きありがとうございます。

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