生活保護を受けたら病院に行けなくなる?生活保護指定医療機関と医療券

生活保護を受けると病院に行けなくなる? 生活保護

生活保護を受けると普通の病院に行けなくなるって本当?

こんな質問をネット上で目にしたことはないでしょうか。私は何度か目にしたことがあります。
この質問に対する答えは、イエスでもありノーでもあります。
今回の記事では、生活保護と健康保険の関係について説明をしていきます。

生活保護を受けると健康保険の資格がなくなる

まず、生活保護を受けると国民健康保険の資格が失われます。これは国民健康保険法の以下の定めによります。

第五条 都道府県の区域内に住所を有する者は、当該都道府県が当該都道府県内の市町村とともに行う国民健康保険の被保険者とする。
(適用除外)
第六条 前条の規定にかかわらず、次の各号のいずれかに該当する者は、都道府県が当該都道府県内の市町村とともに行う国民健康保険(以下「都道府県等が行う国民健康保険」という。)の被保険者としない。
九 生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)による保護を受けている世帯(その保護を停止されている世帯を除く。)に属する者

出典:国民健康保険法

一応補足しておくと、生活保護を受ける人には国民健康保険とは別の枠組みでの医療費のサポートを行う必要があるからそうします、ということです。その別の枠組みのことを医療扶助といいます。

健康保険の代わりに医療扶助で医療サービスを受けることになる

具体的には、生活保護を受給している人が病院にかかりたい場合はその都度、福祉事務所に伝えて「医療券」という書類を発行してもらい、その書類を病院に持参して医療サービスを受けます。その後の診療の流れは健康保険で受診した場合と感覚的には変わりません。

なお生活保護の医療扶助では自己負担はありませんから、診察後に会計はありません。会計窓口で「本日、お会計はございません」などと言われて病院を去る、というイメージです。ただ、診療後の流れは病院によっても若干異なります。

土日・祝日で福祉事務所が休みの場合はどうするの?

生活保護を受けると「 休日夜間等診療依頼証」という証明書をもらえます。福祉事務所が休みの日に体調を崩したり事故などで病院を受診する必要が生じた場合はこの証明書を病院に持参して受診します。

すべての病院で医療券が使えるわけではない

指定医療機関でない病院は受診できない

ここで困ったことが起きます。医療扶助を使って医療券で病院を受診するためには、その病院が「生活保護指定医療機関」である必要があります。
生活保護指定医療機関は行政が一方的に認定するようなモノではなく、あくまで病院側が申請した結果として指定医療機関になるという仕組みです。

生活保護指定医療機関かどうかは病院に問い合わせれば教えてくれますし、福祉事務所で医療券の発行をお願いする際に、行きたい病院が指定医療機関ではない場合はその場で教えてくれるはずです。自治体によって運用が異なる可能性もありますが、私の経験ではそうした場合はきちんと教えてくれました。

特殊な病院というわけではない

生活保護に対する負のイメージから「生活保護指定医療機関というのは普通の人が行かないような特殊な病院ではないのか?そんなところでまともな医療サービスを受けられるのか心配だ」と懸念する方もおられるかもしれませんが、そのイメージは正しくありません。あくまでも数ある病院の中で生活保護指定医療機関かどうかの違いがあるというだけで、生活保護指定医療機関であっても普通の病院と変わりはありません。

ですので、生活保護を受けている個人が医療機関から特殊な対応をされるのかどうかは、その病院やその病院に勤務する医療従事者の考え方によります。これについては後述します。

難しい病気で治療できる病院が限られる場合などは注意が必要

もしあなたが、もしくはあなたと世帯を同じくする家族が、どこの病院でも普通に見てもらえるような一般的な病気ではない難しい病気を抱えている場合に、生活保護を受けようと考えている場合は、現在通院している病院が生活保護指定医療機関かどうかを事前に確認する必要があります。

もし、現在通院している病院が、生活保護指定医療機関でないのであれば生活保護の受給開始後はその病院では診察してもらえなくなります。その場合は別の病院を探さなければなりません。

実際どのくらいの病院が指定医療機関なのか

データは見つけることができませんでした。継続して調べてみたいと思います。
ですので、ここからはあくまで政令指定都市に住む私の個人的な肌感にすぎませんが、公立病院はほぼすべて対応していました。民間のクリニックでは内科、耳鼻咽喉科、精神科、小児科などは対応していることが多く、整形外科、歯科、皮膚科はけっこう非対応の病院がある、という感想です。

なお大きな総合病院だから、有名な病院だからといって生活保護指定医療機関であるとは限りません。「近所に総合病院があるから安心だ」という理由で引っ越し先を選んだものの、引っ越し後にその病院が生活保護指定医療機関ではないことがわかった、ということはありがちです。引っ越し先を選ぶ際などには事前に病院に問い合わせておくことをおすすめします。

医療扶助システムの問題点

生活保護受給者への医療差別につながる?

以下は、2021年6月2日にYouTubeのチャンネルであるABEMA Primeで公開された動画です。この動画のテーマは2019年7月18日に発生した京都アニメーション放火殺人事件についてであり、生活保護や医療扶助制度についてではありませんが、動画内で紹介されたフリップの

医療費が実質無料の生活保護受給者は「高額な治療を受けさせない」と公言する医師も

という文言が私の心をとらえて離しません。

というのも、私自身が生活保護受給者として医療機関を受診する際に、一部の医師や看護師といった医療従事者から差別的な待遇や、ある種の敵意を含んだ態度を感じることは実際に経験してきていることだからです。

考えてみれば、恐ろしいことです。生活保護受給者の患者に十分に説明がなされたうえで国民健康保険加入者とは異なる検査や治療法が提示されるならいいのですが、そうでなく患者である私たちのあずかり知らぬかたちで差別的・格差的な医療行為を行われて、結果として重大な病気が見逃されてしまったり、といったことがあるとしたら…

しかしこうしたことの背景には、生活保護の受給者の側にも大きな問題があると私は考えます。医療費が青天井だからと高額な検査を要求したり、必要もないのに毎日のように通院したり、ちょっと医師との相性が悪いからといって病院を転々とする、いわゆる「ドクターショッピング」を繰り返す生活保護受給者もいるそうで、この際の初診料はすべて公費です。

働きながらも生活保護水準以下の生活を送っている、いわゆるワーキングプアの人たちや、わずかな年金で心細い生活を送っている年金生活者にこのような贅沢ができるでしょうか?おそらく無理でしょう。

健康保険の加入者の中には、体調が悪くても病院に行かずに我慢する、お金のかかる治療をあきらめる、そうした決断を余儀なくされる人たちがたくさんいる。いっぽう生活保護受給者は医療扶助によって医療費は青天井のためいくらでも病院にかかることができ、お金のかかる検査、治療、薬も使い放題。そうした不公平な現状を日々、目の当たりにしている現場の医療従事者が生活保護受給者に差別意識や偏見、敵意などを抱いたとしても無理のないことではないでしょうか。

おわりに

以上、今回の記事では生活保護と健康保険の資格喪失、生活保護指定医療機関の話題について書きました。
それでは今日はこの辺で。最後までお読みいただきありがとうございます。

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